2020年令和初めての初場所は10日目を終わって、平幕力士が一敗を堅持して、優勝争いは混沌としてきた。
優勝候補の本命だった2横綱が前半から連敗して休場に追い込まれ、三役では貴景勝と朝乃山をがなんとか優勝争いに踏みとどまっている。
今場所の主役に躍り出てきたのが正代。
これまでの正代といえば、足より先に鳩胸を出して、さあ押して、張ってと言わんがばかりの取り口で、目立った活躍はなかった。
ただ不思議なことに正代は、毎場所上位で相撲を取っている。
つまり8番の勝ち星をうまくコントロールしてきた、典型的なサラリーマン力士と見ていた。
欲もなければ、無様な負け方しても、男としての恥じらいもなく、きょとんとして土俵を下りて、ツラツラと花道を引き上げる。
そんなお相撲さんだった。
それがどうだ。
先場所からやや前傾気味に、出足よく前に出て相手に圧力をかけて、自分ペースの相撲を取り出したものだから、勝ち星が増えてきた。
そして、この初場所は、先場所の相撲感がもう一皮向けたように、出足よく、手足もよく動き相手を圧倒する。
ついに今場所の優勝候補の本命に登ってきた。
残り5番しかなく。優勝を意識するなという方が無理で、力士なら誰でも優勝したいと思っているし、インタービューではまだまだですと、優勝への意識をはぐらかしているが、心中はボチボチ意識もでてくる。
そうなたときに、これまでのような相撲が取れるか、あるいは何ごともないように連勝を伸ばすか。
過去に熊本出身力士で優勝したのは、第11代横綱不知火光右衛門が元治元年(1864年)10月場所で優勝して以来であり、明治以降は誰もいない。
つまり、正代が優勝すれば156年ぶりとなる熊本出身力士の優勝となる。
また時津風部屋から優勝力士は大関北葉山いらいとなり、名門時津風部屋復興へ、正代の期待は大きくなる。
なお、今場所優勝争いにも時津風部屋から豊山が2敗で残っており、同部屋からの優勝決定戦も見られる可能性もある。
さて今日を入れて残り5日。
千秋楽、優勝の美酒に酔うのは正代か? 貴景勝か? はたまた、もう一波乱が起きて、優勝への星勘定が3敗、4敗まで下がるか・・・。
俄然面白くなってきたぞ~。