九州場所3日目。2日目に大栄翔に油断して負けた白鵬。今日は期待の若手力士朝乃山との一番に白鵬の執念が出た。それは時々横審でも問題にされる「張り手」だ。張り手を出す時の白鵬は、絶対に勝つために繰り出す武器なのだ。張り手は反則技でもないし、一つの技としても黙認されている。
白鵬が張り手を出す今の心境
この武器を出す伏線は、白鵬の勝負根性があるからだ。全盛時代の白鵬が見せなかった技だが、晩年近いゆえ自分の強さを大向うにみせるために技だ。白鵬に脅かす若手力士が育っていることを誰よりも知るのが白鵬自身だ。
まだ引退したくないという野望があるからこそ、稀勢の里より年上でも横綱を張る精神力を持っている。そして「休場」という横綱の特権を上手に利用して相撲界に君臨している。白鵬が稀勢の里と同じような性格だったら、白鵬はとうに引退している。
白鵬が張り手を出す結論として、「勝負に勝つ」ことしかない。
勝負に勝つことは、相撲の最高位になれる、給料も上がる、生涯食いっぱぐれのない名誉を築ける。
これしかない。こうした思考を持っている日本人力士はほとんどいないと言っていい。
張り手を武器にした日本人力士は?
日本人力士で張り手を武器として使ったのは南海のハブという異名を取った旭道山だ。旭道山は1989年1月場所に新入幕を果たして、その場所に9勝を挙げて敢闘賞を受賞している。旭道山は180センチで体重は100キロ前後の軽量力士だが、自分より大きな相手でも真正面からぶっつかっていく相撲でケガを度々発生させている。
そして、旭道山が勝つために選んだ武器が張り手だ。
1993年の夏場所(7月)13日目に久島海との一戦で張り手を出して、久島海はまともに受けたためい脳しんとうになり、倒れる時に足首を捻挫して、力士生命を短くしたのは、相撲通が知ることだ。
その後は、大善・小城ノ花・貴闘力・久島海(2回)・武蔵丸・栃乃和歌など10人ほどの現役力士を張り手で沈めた。 あまりにも旭道山の張り手の威力がすごいので、張り手を禁じ手にする動きが出たほどだ。
元小結・旭道山の張手の餌食になった力士
旭道山以外に張り手を使って活躍したのは、元関脇貴闘力だ。
千代大海と武双山との一番 (平成10年七月場所)で両者張り手を繰り出す相撲に勝負の執念を両者に見え館内は大興奮したこともある。(次の動画)
その後は、張り手を武器に土俵にあがる日本人力士はいなくなった。
張り手を使え日本人力士
話がそれたが、その張り手は白鵬だけに許される技だろうか?
絶対に違うと断言できる。白鵬より下位の力士が白鵬に張り手をするのは失礼だとかアホなメディアやタニマチがいるが、そんな呑気なことを最もらしくいうから大相撲の醍醐味が薄れている。
反則技は絶対にやっちゃいけないが、張り手を横綱や大関に出しても異論はない。
今日の朝乃山だが、張り手を予想できていなかったというコメントを出していたが、そんなコメントをする限りは、まだ勝負にかける気迫が足りない。
「白鵬より先に左上手を取るには、とにかく前に出る」ことしか考えなかった朝乃山の甘さが出た。それを読みきった白鵬という勝負師のヨミがずばり当たった一番だった。
逆に 朝乃山が勝には、踏み込んで白鵬に張り手をかまして、前みつを取って左上手を取るくらいの考えでやってもよかった(ある意味バクチだが)。